好きなのに 63

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 ひたすら広いリビングにいくつか置かれたテーブルには、いろんな鍋が用意されていた。
 さらに金髪碧眼人種から多種多様な生業の男女がそこに集っている。
「ああ、やっと来た、佐々木ちゃん!」
 女優であるなんてことをすっかり忘れているアスカが佐々木を見て手を振った。
「佐々木さん、どうぞ、どうぞ、こちらへ」
 常に愛想のいい藤堂が佐々木を手招きした。
「これで揃ったな、よし、食べていいぞ」
 中心にいる綾小路京助の合図で、皆が一斉にそれぞれ好きな鍋へと群がった。
「向こうから、しゃぶしゃぶ、石狩鍋、キムチ鍋、鴨鍋、すき焼き、おでん、ちゃんこ鍋、豆乳鍋、佐々木さん、どれから行きます?」
「すごいなぁ、これ、自分らで用意したんですか?」
「そう、京助さんは料理の腕はかなりのものみたいですよ。主にあそこにいる研二さんと俺と公一さんが料理担当、大くん、直ちゃん、浩輔ちゃんらが京助さんと買出しに行ってくれて」
 藤堂の説明に、佐々木は感心しながら近いところにある豆乳鍋をもらうことにした。
「佐々木ちゃん、疲れてるでしょ? 直が持ってくるから座ってて」
「あ、悪い」
 近くのソファに腰を降ろすと、確かにちょっと疲れているかもしれないと思いながら、佐々木は楽しげで賑やかな一同を見渡した。
 良太は大や浩輔らととっくに馴染んでいる。
 傍らのテーブルには日本酒にワインに焼酎、ウイスキーにシャンパンと、ずらりと並んでいた。
「佐々木さん、あの……」
 言いかけた藤堂を悠が呼んだ。
「藤堂、これ、どうやって食うんだ?」
 苦笑しながら藤堂はカニと格闘している悠のところへ行って世話を焼きはじめた。
 そういえば、直子と浩輔が、藤堂と悠は一緒に暮らしているのだと言っていたことを思い出す。


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