好きなのに 64

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 まあ、二人がどういう関係であれ、見ていると微笑ましい。
 せや、世話になりますて、一応挨拶せな、またお母ちゃんに怒られるな……
 京助はどこにいるだろうと見回した佐々木の前に長めの金髪に顎鬚の男が立った。
「はじめまして、ワタシ、エットーレといいます」
 にこやかに片言の日本語で自己紹介したエットーレは、どうぞとワインの入ったグラスを差し出し、「ああ、どうも佐々木です」とグラスを受け取った佐々木の横にちゃっかり腰を降ろした。
「あなたとてもキレイですね、モデルしてますか? ワタシ、モデルです」
 佐々木は、ああ、と理解した。
 こんなところでもまたか、と思わざるを得ない。
「佐々木ちゃん、はい! あったかいうちに食べよう!」
 追い払うのも面倒だと思っていると、直子が戻って来て、佐々木の持っているワイングラスを傍のテーブルに置き、代わりに美味しそうな熱々の鍋料理が入った器と箸を持たせた。
「お、美味そやな。サンキュ」
「うん、お肉とお野菜と、スープ、すんごいクリーミィで美味しいよ」
 直子が必要以上にかいがいしく佐々木に寄り添うのを見て、エットーレはちょっと肩を竦めて席を立った。
「佐々木ちゃんてば、すぐ、目をつけられるんだから」
 エットーレがアスカやブロンド美人たちのところに行ったのを見て取った直子がこそっと言った。
「ああ、あれ? すまんすまん、俺男なのにな」
 佐々木は申し訳なさそうにちょっと笑う。
「違うの、男でもちょっと美人だと思うとすぐ口説くみたいだから、気をつけないとダメ。ほんとにあいつ懲りないんだから」
「懲りないって、何、片っ端から口説いてるわけ?」
「それがぁ」


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