好きなのに 66

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 直子のように素直に考えられれば問題はないのだが。
「それにしても、そういうカップルの占める割合、直の周りに多い気がするなぁ、浩輔ちゃんと佐々木ちゃんだけじゃなくて、藤堂ちゃんや良太ちゃんに加えて、ドびっくりなあの二人」
 直子の視線の先に、何やら言い争っているらしい京助と千雪の二人がいた。
「そや、俺まだ、京助さんに挨拶してへんわ。お母ちゃんに釘刺されてるからな、くれぐれも失礼のないように、て」
「アハハ、佐々木ちゃんママ、綾小路っていうと、メチャ気をつかってるみたいだもんね。何か、家柄がどうとか」
 佐々木は直子を見つめた。
「そんなこと、直ちゃんに言うた? うちのおかん」
「ううん、ほら、お稽古に行った時、横浜の叔母様がいらしてて、ちょっとおしゃべりしたの。すごく明るくてお優しい方よね?」
「篤子叔母さんか、ほんま、あの二人、性格が真逆やからな」
「でも、大変よねぇ、家柄が古いと、いろいろあって」
 直子も持ってきた自分の器をきれいに平らげながら、ひとり頷いた。
「何でも、綾小路家とか綾小路さんとこの奥様の九条家よりも佐々木ちゃんママの実家、長司家の方が格が上なんですって」
「そんなんどうでもええんちゃう? 第一、貧乏なうちやで? おかんの実家て。あんまり交流ないけどな、今の叔父さんも甲斐性ないみたいやし。奥さんとこは資産家らしいけど、まあ、うちのオヤジも似たようなもん? ほんで俺もそのオヤジとおんなじ、商才ないしなぁ」
 すると「いいのよ、佐々木ちゃんは!」と直子は拳を握る。
「天才クリエイターなんだから、それ以外のことは春日さんに任せておけば!」
 ハハハと思わず空笑いする佐々木のところへ、当の綾小路京助がやってきた。
「忙しいところ、お疲れ様です、佐々木さん」
「ああ、いや、こちらこそ、お世話になります。来たそうそう、ぐうたらしてもて、すみません」


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