好きなのに 70

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 良太とシルビーを従えてキッチンに消えた千雪を見つめていた佐々木に、「はい、すき焼き、美味しいよ」と直子が二人分の新しい器に美味そうなすき焼きを目一杯入れて戻ってきた。
「お、すまんな、直ちゃん」
「なーに言ってんの、直と佐々木ちゃんの仲で」
 グラスには並々と熱燗が入っている。
「お、これも美味い」
 ぐいっとグラスをあけて、佐々木はようやくほっとした気分になった。
 それから千雪に同級生だという一際ガタイの大きな研二や三田村、後輩だという佐久間を紹介され、良太には高校の同級生で飯島肇とかおりのカップルを紹介された。
「天才クリエイターの佐々木さん? 京助のお隣なんですって?」
 京助の同僚の娘で中学生だという朝吹亜美と一緒に来た派手な美女は五所乃尾理香と名乗った。
 華道五所乃尾流の家元の娘だと直子が佐々木に耳打ちする。
 大と仲のいい藤原公一という若者は、綾小路で見かけたことがあった。
 アスカにはリアとアストリッドというブロンド美人二人も紹介されたが、モデルでたまたま日本に仕事できていて、明後日月曜までがオフだということらしい。
 この二人にも懐かれたが、ブルーベリータルトを持った直子がしっかり割り込んできた。
「はい、佐々木ちゃん」
 ぼんやりしている佐々木に時々やるように、直子はフォークでタルトを佐々木の口元に持っていく。
 これを見せられると、ほぼ、99パーセント、二人がカップルだろうと思ってくれること間違いなしで、二人のブロンド美人は笑いながら席を立った。
 ようやく鍋の晩餐が終わったのは十時を過ぎた頃だ。


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