好きなのに 72

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 佐々木は以前、藤堂が言った言葉を思い出した。
「どうかしました?」
「直ちゃんに言われるわけや。俺、世間に疎いて。前に、藤堂さん、言うてはった、コスプレしてる、て、小林先生のことやった?」
 藤堂は声を上げて笑った。
「いや、冗談じゃなく、さっきエットーレのことを注意しておこうと思ったら悠ちゃんが騒ぐので言いそびれたんだが、直ちゃんは頼もしい相棒だねぇ」
「まあそれは否定せぇへんけど、いくら何でもそうそう可笑しなやつにつけ込まれたりしませんよ」
 風呂からあがって部屋に戻る途中、二人は風呂に向かう良太や浩輔、それに研二や三田村とすれ違った。
「お疲れ様です」
 良太と浩輔が口々に言った。
「お疲れ様、そういや、風呂掃除とか、どないすんの?」
 佐々木は浩輔に聞いた。
「朝、大くんと公一さんがやってくれたみたいだけど、手のあいてる者で手伝おうってことになって」
「そうか、ほな、俺も」
「あ、いいです。運転、佐々木さんにずっと任せっきりだったから、俺、やりますから」
 良太が言った。
「えらいねぇ、良太ちゃん」
 藤堂がにっこり笑う。
「ちょっと、ガキに言うみたいな言い方やめてくださいよ」
 抗議する良太にまた笑って返し、藤堂と佐々木は部屋に戻った。
「佐々木さん、下でお酒でもどうです?」
「あ、いや、何かちょっと疲れたみたいで、今夜は遠慮しときます」


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