好きなのに 80

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 思ったとおり、「当たり前だろ」という答えが返ってくる。
「けど、天気と充分相談してからにしろよ? 帰れませんでした、じゃすまないぞ?」
「わーかってる。俺だって、そんなバカやらないさ。一応、明日明後日の天気は悪くないし」
「けどな……」
 さらに良太が言いかけた時、鏡に佐々木が映ったのを見て、慌てて振り返る。
「何や、仕事? 大変やな」
 佐々木が声をかけると、「あ、ええ、まあ」と慌ててごまかし、「じゃ、とにかく、充分考えて行動しろ」と良太は携帯を切った。
 お陰で本当に頭を冷やした佐々木は、沢村に電話をするタイミングを失い、結局リビングに戻ってきた。
「次、これ行きます? 佐々木さん」
 藤堂がワインボトルを掲げてみせた。
「いいですね」
 佐々木が今度は藤堂と飲み始めたその頃、良太は後ろから直子の強襲を受けていた。
「わっ!」
「うわわっ!!」
 良太はびっくりして飛び退った。
「ちょ、直ちゃん、脅かすなよ」
「なーにコソコソやってんの?」
 顔を覗きこまれて良太は言葉に詰まる。
「ちょっと仕事のことで……」
「佐々木ちゃんが一人でこっちにフラフラ出てきたから、心配になってあとついてきたらさぁ、なーんか、佐々木さん、とか、こっちに来る、とか聞こえちゃったんだけど……」


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