好きなのに 83

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 三田村はフンと鼻で笑う。
「何や、締め切り間近かいな」
「まあ、な」
「そらそら。こっちにはかかってけぇへんの?」
「携帯持ってないことになってるし」
「今時そんなの、編集信じてるんですか?」
 つい、良太が口をはさむ。
「一応な」
「逃避してんと、いい加減やったらええやろ、千雪。荷物置いてくるわ」
 自分のスキーを置いた研二は笑いながらクローゼットを出て行った。
「研二さんて、でかいし、何かプロのスポーツ選手みたいですよね」
 つい、佐々木に同意を求めるように言った良太は、あ、まずい、と思ったらしく、いけね、とつけ加えた。
「ああ、せやな」
 佐々木は微笑んだ。
「えと、研二さんて柔道やってるんですよね、千雪さん」
 良太は今度は千雪に話を振った。
「うん、ガキの頃からでかかったで」
「そう、でも太る体質じゃないからすげぇ筋肉。ほんとは警察からも勧誘あったらしいけどな、菓子職人や」
 三田村がつけ加える。
「ほんとに寡黙でクールっていうのは、ああいう人のこというんだよな。それにすんげく優しいし」
 良太の言葉に、佐々木は思わず沢村の顔が頭に浮かんでしまう。


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