好きなのに 85

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「聞いてよ、良太! 京助ってば、シゴキよシゴキ! 女優に対してあんなの、信じられる?」
 良太の顔を見たアスカがすぐ文句を並べ立てる。
「ハハハ、それはご愁傷様です」
「何よ、その言い方。明日は良太特訓したらいいわ、京助」
「え、いや、遠慮しときます。うっかり、佐々木さんに指導してもらってヘトヘトですから」
「あの程度で何がシゴキだ、その女優のくせにいいのかってくらいバカバカ食うくせに」
 京助が思い切り呆れた顔をする。
「休暇中はいいのよ」
「ふんぞり返ってないで、そっち詰めろ。秋山さんが座れないだろ」
 京助に言われてフンとむくれながら、アスカは組んでいた脚をおろして少しずれる。
「ごめんなさい」
「おや、ありがとうございます」
 カップを持って立っていた秋山はアスカの横に腰を降ろした。
「今夜出ますからね、それまでゆっくり身体を休めて下さい」
「わかってるわよ」
 今日は仕事でスキーをパスした藤堂が部屋から降りてきて、リビングを見回した。
「皆さん、お疲れ様だね」
「ずっと仕事だったんですか?」
 浩輔が申し訳なさそうに聞いた。
「まあね、例によって勝手気侭な誰かさんがああしろこうしろと電話してきやがって」
 ハハハ、と苦笑いをしながら、「お茶もらってきますね」と誰かさんの代わりの罪滅ぼしだと、浩輔はキッチンに向かった。


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