好きなのに 86

back  next  top  Novels


 早速佐々木と良太は京助の車で買出しに出かけることになった。
 最初に訪れたのはスーパーカメヤである。
 平造からもらったリストに従って、三人は野菜や果物、パスタやチーズと食材をカートに入れていく。
「マスカルポーネ、ティラミス用やね、それからパルミジャーノ・レッジャーノと、ペコリーノにモッツアレラと……」
 佐々木が迷いなくたったか選んでいくのを見て、「佐々木さん、詳しいですね、この店」と良太が何気なく言った。
 佐々木が振り返ると、良太はしまったという風によそに顔を向けている。
「それにしてもほんと、このスーパー何でもありですね、すんげくでかいし」
 パスタ、牛乳、ジュース、ありとあらゆるメーカーのものが揃っているこの店に、佐々木も初めて入った時は良太と同じようなことを思ったのだ。
 しかしそんなちょっとしたことさえ佐々木の中では沢村に繋がっていて、ついつい溜息をついてしまう。
「俺、何度か工藤さんとこ来てますけど、買い物とか近場のコンビニしか行ってなかって、すごく損した気分」
 他愛ないことを口にしながら、良太は「お、こんなのもある」とあちこちで面白そうなものを見つけて喜んでいる。
「よそ見ばっかしてんなよ、良太」
「はい~」
 京助に突っ込まれて良太は気まずそうに返事をした。
 ここのは美味いんだと京助の言う自家製ハムの店に立ち寄った時は、佐々木も珍しそうにいろいろとショーケースの中を覗いてみた。
「どれも美味そう~、何か腹減ってきたな~」
 良太が言うと、京助は車を商店街に向け、いい匂いのする店の前で停めた。
「買出しの特権だ」
 京助がそう言って買って来たのは、できたてのたこ焼きである。
「うわ、ありがとうございますぅ!」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ