好きなのに 90

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「わあ、佐々木ちゃん、本格的ぃ」
 道具を箱から出したりして用意していると、直子がやってきて隣に座る。
「直も手伝うからね、何でも言って」
「頼むわ。直ちゃん、存分に遊んだ?」
「もう、目一杯! 食事は美味しいし、お風呂は温泉だし、こーんなスキー合宿なら何度でもきたいなぁ」
 そこへバタバタと風呂場の方からやってきたのは、バスローブ姿で頭にバスタオルを巻きつけたアスカだった。
「もう、長湯しすぎちゃった。あらぁ、すごい! 佐々木ちゃん、お茶点ててくれるの?」
「あとでね」
「わかった。お邪魔様ぁ。いいなぁ、佐々木ちゃんと直ちゃん、いっつもラブラブで」
 手で顔を扇ぎながら、アスカは厨房の方へと向かう。
「……でも、人気女優がバスローブでうろうろって合宿ってのも、なかなかないよねぇ、佐々木ちゃん」
「ほんまや」
 やっぱり誤解をされているなと思いつつ、二人は顔を見合わせてクスリと笑う。
 案の定、厨房の方では、「女優のくせにそんな格好でうろつくな!」と京助が怒鳴っている。
「長湯しすぎて、喉渇いちゃったんだもん、仕方ないでしょ!」
 すぐ負けじとアスカが怒鳴り返している声が聞こえてきた。


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