好きなのに 96

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 途端、リビングのあちこちから酔っ払いが囃したてる。
「そうか、ほな、良太と俺、部屋変わろうか?」
 しかも千雪がさらりと沢村に尋ねたりする。
「違うって、千雪さん、ちょっと冗談やめてくださいよ!」
 ハハハと笑う千雪は、明らかに良太をからかっている。
 だが、本当はからかっているのだとわかってほしい佐々木には、絶対誤解されている。
 焦りまくった良太は、「参ったな、お前もちゃんと否定しろよ、沢村」と沢村をこづく。
「ああ、いや、俺は良太に会いに来たんじゃなくて、佐……」
「沢村っ!!!!」
 今度は公衆の面前でぶっちゃけようとした沢村を良太は声を上げて遮った。
「何だよ、俺は事実を……」
「だから、この場で言う必要はないんだってば、一人だけに言え! 一人だけに!」
 汗まで出てきそうになりながら小声で窘めながら、「お、これ美味い!」などとパクパク食べている沢村を見て、良太は溜息をついた。
「アスカさん、そろそろ出ますよ」
 どうやらケラケラ笑っているアスカに、今何を言ってもだめだと理解した良太は、仕方なく、すっかり身支度を整えてアスカを連れにきた秋山をつかまえて、リビングの隅に移動した。
「どうした?」
「いや、ちょっとその、アスカさん酔っ払っちゃってるんで、素面になったら伝えてほしいんですけど」
「沢村くんのこと?」
「ええ、さっきのアスカさん発言、誤解だって言っておいてください。ってか……その、沢村が会いにきたのは……」
「佐々木さん?」


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