好きなのに 97

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 良太は驚いて一瞬秋山をしげしげと見つめた。
「知ってたんですか?」
「いや、だって、沢村くん、入ってきてすぐ佐々木さん探してたみたいだからね」
「ぶっちゃけ、そうなんです。あの二人つきあってて、ほんとはアスカさんに口止めしておこうと思ってたのに、うっかり、佐々木さんに誤解されたかもしれない」
 はあ、と良太は大きく溜息をつく。
「しかも、佐々木さんにはキャンプ中は来るなと言われてたのに、沢村のやつ佐々木さんに内緒でどうしてもくるって聞かなくて、どう転んでも俺、佐々木さんに睨まれる」
 秋山は苦笑する。
「良太も苦労するな。で、お嬢さんに事実を伝えた方がいいんだね?」
「はい、今後のことも考えて、ただし、佐々木さんのことを考えて、あまり人前で口にしないように」
「了解した。全く、飲みすぎるなと言っておいたのに」
 それでもアスカは飲む前に荷物を整えておいたらしく、良太は同室のリアに言って部屋からアスカの荷物を運び出した。
 京助に礼と挨拶をした秋山が、酔ってブツブツ言っているアスカを車に押し込んでいるところへ、良太は荷物を運んだ。
 トランクに荷物を積み込んだ秋山に、「気をつけて」と声をかけ、後部座席を覗くと、アスカはもう眠っている。
「平さんに、スキー用具とかは頼んであるから、もし会ったらよろしく言っておいてくれ」
「わかりました」
 良太が秋山たちの乗った車を見送って、リビングに戻ってみると、沢村は佐々木の前に座っていた。
 すると傍らにいた直子が使った茶碗を持って席を立った。


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