笑顔をください 1

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 春爛漫。
 校庭の桜は今年も雅やかに花を広げ、やがてゆっくり終息へと向かっていた―――。
 

 

 
  ACT 1
 
「やっぱここにいたな、志央」
 もうすぐ予鈴が鳴るという頃になって、長谷川幸也は生徒会室のドアを開けた。
 しまった、という顔で城島志央は振り返る。
「ホームルームのあとすぐ対面式だから、準備をしてただけだ」
「とか何とか、俺を避けてたくせに。…っと、こいつは没収!」
 幸也は志央のポケットからするりと携帯を抜き取った。
「ちょっと待てよ、もらったばっかなんだぞ? その携帯」
 志央は慌てて抗議する。
「だーめ、俺が勝ったんだから」
 制服を脱ぎ捨てて夜の街に繰り出し、互いに誰かターゲットを決めて落とせるか否かを賭け、勝った方が負けた方に一つ命令する、というのが二人の暇つぶしゲームだ。目下のところ三勝三敗の五分。
 この春休み、幸也はモデルの女の子を見事に射止め、志央は美人の人妻に迫り、ホテルに行く直前でやんわり拒否された。
 志央が勝てば幸也が持っている人気のゲーム『バトルX』の最新版が手に入る予定だった。


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