笑顔をください 100

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 だけど、行き場をなくしたままの哀れな思いは止まってくれない。
 ボロボロボロ、と志央の目から熱いものが溢れ出て落ちた。
「俺なんか、見るのも嫌なんだろ?」
 もう一度、あの笑顔を取り戻せたらよかったのに。
「行けよ! 行っちまえ! バカやろ…」
 顔を涙でぐしゃぐしゃにして、志央は精一杯の虚勢を張る。
 すっと、そんな志央の頬に、のばされた七海の指が触れる。
「行くな、って言いたいんでしょ?」
 志央は涙で潤んだ目を上げる。
「何でそんなこと…俺がっ…!」
 七海はクスリと笑う。
「何で笑うんだっ!」
 むっとして志央は突っかかる。
「またまたやせ我慢しちゃって」
「……何だと?」
「俺を必死で呼んだくせに」
 志央の頬がかあっと火照る。
「あれは……咄嗟に…」
「俺を呼んだんでしょう? 俺があげたストラップも捨てられなかったくせに」
 七海は腕を伸ばす。


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