笑顔をください 105

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 志央は照れくさくて、つい七海にあたってしまう。
「来週、晴れたら今度こそ、江ノ島行きましょう」
 七海が笑う。
 暖かい笑顔だ。
「ああ、……そうだな」
 離れていってほしくない。
 もう絶対!
 志央は心の底からそう思うのだった。
 

 

 今度という今度は理事長の耳にもその知らせは入っていた。
 だが、幸也の計らいで志央がどんな目にあったかは詳しく語られなかった。
 後でわかったことだが、ここ一年高橋の成績は落ちるばかりだった。
 高橋も意気揚揚とこの学園に入学してきたはずだ。
 周囲からの期待と自らの希望とプライド。
 そんな諸々のプレッシャーを抱えて高橋はいつしか壊れてしまったのだろう。
 遊ぶ金欲しさに言いなりになる連中を従え、父親の地位をかさにきて桜庭を脅し、さらに弱い者たちを苛めさせることで鬱積したものを吐き出そうとした。
 有名商社社長である高橋の父親は息子を自主退学させた。


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