笑顔をください 12

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 にっこり微笑んで握手を求めると、頭をかきかき、大男はへへへと笑う。
「この通りの図体なもんで、どこでも難癖つけられちゃって…。俺、藤原七海っていいます」
 志央の差し出した手を力いっぱい握ったまま、なかなか離そうとしない。
「あー、藤原くん、そろそろ中に入らないと」
「ハ、ハイー」
 笑顔を向けたままやっと藤原は志央の手を離し、二人は校舎へと向かう。
 と、いきなり、志央の横で藤原がたたらを踏むように足を浮かせたと思うと、ズデン!! と巨体が思い切り地面にひっくり返った。
「お…い、何やってるんだ? いったい…」
 チョードンくさ…と、藤原を助け起こそうとして、志央は藤原のすぐ横を花壇の花の陰へと一匹のトカゲがするする逃げ込むのを見た。
 え……、トカゲを踏むまいとして自分からこけたのか?
「……ってぇーー!」
 花壇の石で擦りむいたらしく、持ち上げた藤原の頬に血が滲んでいる。
「君、血が出てるぞ、保健室行くか?」
「いやあ、こんくらい、なめときゃ平気ですよ。っと、あぶねー、あぶねー、花、つぶしちまうとこだった…」
 のっそりと起き上がりしな、ちょっと倒れかかっている花を丁寧に植え直している。


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