笑顔をください 2

back  next  top  Novels


 拒否された代わりにその人妻からプレゼントされた携帯は結構気に入っていたのに。
「アプリもいろいろ入れたし、最新型なんだぞ。それにもう、みんなのアドレスとか入ってるし」
 志央は取り返そうと手を伸ばすが、幸也はそれをサッとかわす。
「男らしく観念するんだな。生徒会長ともあろうものが情けないセリフを吐くんじゃない」
「るさいな、生徒会長なんて、理事長の孫だからって仕方なくやってるんだ!」
 幼稚園児の頃からのつき合いでほんの近しい連中をのぞいては、一見品行方正な生徒会長が、副会長の幸也ともども実は裏では不埒な遊び人だなどとは知らないはずだ。
「声がでかいぞ。クールな美貌が売りの生徒会長は全校生徒のマドンナなんだから、その期待を裏切るなよ」
「なーにが、マドンナだ、くだらない。早くしないと間に合わないぞ、ホームルーム」
 薄茶のサラリとした長い髪を後ろでゆるく結わえながら、とりあえず携帯については保留にして、志央がドアを開ける。
 同時に、予鈴が鳴り始めた。
 
 

 
 私鉄の駅を降り、バスで十分ほど揺られて坂道を上がりきると、ようやく校門が見えてくる。
 小高い丘の上に建つ私立陵雲学園高校は今年創立一〇〇周年を迎える、この近辺では老舗の進学校である。


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ