笑顔をください 3

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 幼稚園から医学理工関係学部を置く大学部までを併設する陵雲学園にあって、県の保存建築物にも指定されている時計台のあるレンガ造りの高等部本校舎は、広い敷地内の中心で未だに古めかしい威厳を保っている。
「では、皆さん、高校生としての自覚を踏まえ、有意義な学園生活を心がけてください」
 マイクを通して凛とした声が響き渡る。
 二、三年生と前日に入学式を済ませたばかりの新一年生の対面式で、生徒会役員の紹介に続き、生徒会長城島志央が挨拶を終えた。
 その白い肌に美女とも見まごう顔立ちを縁なしのメガネが誇示している。
 学生服に包まれたそのしなやかな長身といい、ため息もので魅了されるのは実は女生徒ばかりではない。
 志央の横では幸也が人の悪そうな笑みを浮かべている。
 志央とは対照的に見栄えのよいルックスと口のうまさで大概の女をコロリと参らせるという、ちょっと危ない大人っぽい雰囲気を持つ男だ。
 この二人は、志央が陵雲学園理事長城島猿之助の孫だということだけでなく、一目も二目もおかれている存在であるし、もちろん校内のみならず校外でも放っておかれるはずはない。
 幼い頃から天使のごときその容姿から何かとちやほやされてきた志央だが、ここのところ女子生徒の比重より男子生徒、果ては教職員にまで言い寄られて閉口している。
 だが比類ない美貌の本当の威力を本人は認識しきれていない、と幸也は志央を見て思う。
 時としていかに危うい色香を周囲に撒き散らしているかを。
 幸也自身はたまにこそこそ近づいてくる可愛い子を選んでつまみ食いしている。
 中には男の子なんかの時もあったりして、志央には呆れた視線を向けられている。


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