笑顔をください 30

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 ちくりちくりと志央の胸を刺すのはやはり後ろめたさという名の虫だ。
 気のいい七海を騙しているのだという。
 クソ、何を躊躇ってるんだ? 携帯のためだ、ようし、一気に決めるぞ!
 そうだ、カメラを用意しとかなければ、と志央は後ろめたさに無理やり蓋をした。
 
 

 

「藤原、ちょっといいかな」
 さあ、昼やすみだっ、と風呂敷包みの二人分、いや三人分の弁当を抱え、ダッシュしようとしていた七海は、クラスメイトの堺勝浩に声をかけられて、足を止めた。
 肉じゃがが思った以上のできだった。
 志央は煮物が好きみたいだし、と、七海は早く志央の喜ぶ顔が見たいのだが。
「藤原、どういうつもりで会長とつき合ってる?」
 頭の中は志央の元に行ってしまっている七海を廊下の柱の隅まで引っ張っていくと、勝浩は聞いてきた。
「どういうつもりって、そりゃ…」
 志央のきれいな笑顔を頭に浮かべ、にんまりした七海に、勝浩が畳み掛けるように続ける。
「あのさ、君のためを思って言うんだけど…会長には深入りしないほうがいいよ」
「え?」


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