笑顔をください 34

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 殴られて腫れ上がり、鼻血だか、傷口からの出血かわからない血まみれの顔になっている。
 だが、その近藤という二年生は、三月末に奥田を袋叩きにしていた五人のうちのひとりだ。
 仲間割れか? 志央は近藤を見据える。
「このまま見過ごすわけには行かない。理由は何だ?」
 近藤は志央の質問にもうんとも寸とも言わず、ぺこりと頭を下げ、足を引きずりながら立ち去ろうとする。
「おい、待てよ、そんな、やられ損でいいのかよ!」
 近藤の腕を掴み、七海が怒鳴りつける。
 激昂する七海など志央は初めて見る。
 近藤は七海の手を振り払い、二人に背を向けて屋上から去っていった。
「まったく…」
 志央は一つ大きく息をつく。
「イジメに反応するってのは、こういうことか」
「はあ、イジメられてるやつ見ると身につまされてほっとけなくて、つい……。妹にも喧嘩するな、って約束させられてたんですけど、実は三学期の終わり、イジメの現場に出くわして、ちょっと腕ねじ上げただけなんですけど、相手、骨折したらしくて…」
 へへへ、と照れくさそうに笑う七海はいつもの七海だが。


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