笑顔をください 38

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 さり気に肩に手を置いたり、振り返るとよく視線が絡む。
 多分、気があるのだろうとは思っている。
 志央の方は男にお答えする気はさらさらないのだがが。
「まあいい。黒板の問題の解説しろ」
 普段品行方性で通っている志央だからこその担任の対応だろう。
 志央は心の中でこっそり舌を出す。
 高橋のおかげで嫌なことを思い出してしまった。
 実際、この先志央はやたらと多忙になる予定なのだ。
 創立記念日である五月二〇日は例年なら休日のはずが、今年は学園創立一〇〇周年にあたり、国内外の姉妹校や学園関係者を招いてのフォーラムや講演などのイベントが企画されている。
 学園祭の実行委員会とはまた別の運営になるため、各クラス委員を創立祭委員にスライドさせ、生徒会長である志央が陣頭指揮をとらねばならない。
 ったく、面倒くさい話だ、志央は心の中で舌を打つ。
 一方、屋上の件は幸也たちにも話したが、その問題もまだ解決していない。
 そっちを調べるのは大山と西本に任せておくとしても。
 七海ともしばらく昼休みデート、できないかもな。
 一日一回はあのぬーぼーとした七海の笑顔を見ないと何だか落ち着かない。
 精神安定剤、ってとこかな、志央は当初の賭けのことを棚に上げてそんなことを思う。
 七海が、図体の割りに怖くない、バカがつくほど正直者で、しかもお人よしだということがわかると、それに付け込んでちゃっかり利用する連中もいるらしい。


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