笑顔をください 40

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 学園から歩いても三十分ほどの高台にある欧風建築の家を白い木の柵がぐるりと囲んでいる。
 坂の下で、犬の散歩をしていた婦人に、城島さんの家と聞くと、白い柵の家だからすぐわかると言われた通り、青空の下、いかにも幸せそうな家族が住んでいますというようすで佇んでいた。
 一際大きなポプラの木を中心に、サカキや花水木、木の実が季節には色づくベリー類やそれにきっとクリスマスにはきれいに飾りつけられるのだろうもみの木などが庭に植わっている。
 ヨーロッパの家のようなアンティークのドアノックハンドルで七海がドアを叩くと、間もなく志央が現れた。
「どうぞ、遠慮せず入ってくれ」
 出迎えた志央は、ブルーストライプのシャツも爽やかに微笑んだ。
 土曜の夕方、Tシャツにジーンズ、生成りのシャツを羽織った七海は、買ってきた食材を手に志央の家に上がると、しゃっちょこばってあたりを見回している。
「その辺に座って。今、お茶入れる」
「え、あの、こんな広いとこに、一人で?」
「だから言ったろ? 母親は仕事で都内に住んでるし、祖父は鎌倉だから」
 湯を注いだポットから芳しい紅茶の香りが立ち上る。
「七海も鎌倉だっけ? バイク通学なんて大変だな。部屋も空いてるし、何ならここに住む?」
 七海の前にカップを置きながらからかってみると、案の定、七海の顔は見事にタコ化してしどろもどろになる。
「え、いえ…あの…」


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