笑顔をください 5

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 怒鳴るわけでもないのに、志央のそのクールな口調のせいか余計に迫力がある。
「…取り壊しが決まっている旧クラブハウスには近づかないようにお願いします」
 風紀委員長が注意事項を再開した。
 
 

 

 対面式に続いて委員会の紹介、各部のオリエンテーションと続いて午前中のカリキュラムは終わる。
「もう一回、携帯賭けて勝負だ! 負けたら携帯諦めてやってもいい!」
 どうしても負けを認めたくない志央は、学食で昼を済ませた幸也を生徒会室に引っ張ってきて断言した。
「ふーん、まあ、いいが」
 幸也は息巻く志央を鼻で笑う。
 本校舎を挟んで建つ新校舎の東棟三階にある生徒会室。
 備えつけのコーヒーメーカーから注いだコーヒーをすすりながら窓を開け放ち、幸也は早速志央から手に入れた最新の携帯機能を試している。
 夜半まで降っていた雨が花のほとんどを散らしてしまったようだ。
 生徒会室の窓の真ん前には桜の老樹がある。
 ところどころにまだ残った薄桃色の花びらが風に乗って開け放たれた窓からふわりと志央の髪に下りた。


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