笑顔をください 50

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 それ以外に直接の運営の役割分担や、贈呈する花束の手配から食事の手配など、委員会での決定事項をまとめておかねばならない。
 ったく、うざったい…
 それらの仕事のせいばかりでなく、ここのところの志央は授業も上の空だった。
 当日の進行表をノートパソコンの画面で追いながら、つい、ポケットに手が行く。
 昼休み、七海がくれた犬のストラップが今志央の携帯についているのだ。
「妹に、志央さんの話ばっかしてたら、これ、作って送ってくれたんです」
 照れながらそう言って手のひらを開くと、ピンクと水色の布で作った可愛らしいおそろいの犬のついたストラップが載っていた。
「きれいな人だって話したら、妹が、彼女だと思っちまったみたいなんだけど…」
 始めは奇異に見られていた七海と志央のツーショットも、単に転校生に親切な生徒会長の図であれ、やつらはデキてる、の図であれ、最近では周囲の方が何となく馴染んできたかも知れない。
 本当の二人の関係は、そんな単純なものではないのだが。
 志央にはたまに高飛車な態度であしらわれたり、つんけんされたりしながらも、七海はめげることなく、昼休みの屋上で志央と一緒に食べる弁当を作り続けている。
 ただちょっとだけ屋上の給水タンクの陰でキスと、夜、寝る前のなんということのないおしゃべりという日課が加わり、水色の犬のストラップをつけた携帯がコールするのを、志央は毎晩待つようになった。
 もちろん絶対口にはしない。
 「おやすみなさい」と告げる七海の声を抱いて眠りにつく。


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