笑顔をください 51

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 どころか、その声を聞かないと眠れないというのはさすがにやばくないだろうかと、七海と会うのは極力昼休みだけにしようと、志央は決めた。
 別れ際のキスが何だか離れがたくなってきたのだ。
 思い出すだけで胸が熱くなる。
 マジ、それはないよな?
 こんなの俺じゃないと思ってみても、心のざわめきが消えるわけではない。
「志央、おい、志央」
 はっと顔を上げると幸也が覗き込んでいる。
「な、なんだ」
 心の中まで見透かされた気がして、志央は顔を赤らめる。
「堺が決算報告と予算案の作成をいつまでにやればいいか、とさ」
「そ、うだな、創立祭あけくらいには欲しいが、堺も次期生徒会長に立つことになってるし忙しいよな。遅くても総会の五日前くらいに目を通せればいい。それだけあれば資料作成も余裕でできるだろう」
 相変わらず堺勝浩と幸也の間には大きな溝があるらしい。
 ここのところ幸也も勝浩に対して目立ったアプローチもしていないようだ。
 勝浩に近づくのはもう諦めたのかも知れない。
 そういえば、そろそろあのバカな賭けを始めて一ヵ月になる。
 キスなんてとっくにクリアしてるのだが。
 それを何となく幸也にも言いそびれている。
 いや、写真とか、まだ、撮ってないし………。


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