笑顔をください 53

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 普段はあまり生徒会室に寄りつかないのだが、さすがにここ数日は資料作成の作業に出てきている書記の松永が、苦々しく唇をかみ締めている幸也の心情を逆撫でするように興味津々で聞いてくる。
「そうだな、こんな時間にひとりじゃ心配だし、堺、送っていこう」
 松永の問いは無視して気を取り直すと、幸也は帰り支度をしている堺に声をかけてみる。
「今日は母に迎えを頼みましたから、結構です」
 すげなく断ると、勝浩はお先に失礼します、ととっとと生徒会室を出て行く。
「ふられましたねー」
 ハハハ、と笑う松永に、「うるさい、早く部屋を出ろ。鍵をかけるぞ」と幸也は苛ついて怒鳴りつけた。
 
 

 

「ほんとにラーメンでいいのか?」
「いいです。しっかりつかまってくださいッ!」
 七海は志央に自分のヘルメットをかぶせ、タンデムで夜の街にバイクをを走らせる。
 カワサキの一〇〇〇cc。
 確かにこのくらい大きくなければ七海には窮屈そうだ。
 小型バイクとは安定感が違う。
 ドドド…という排気音も重い。
 陵雲の学生ご用達のラーメン屋に入ると、七海はラーメンの大盛りに餃子とチャーハンを掻き込むように食べる。
 その食べっぷりは実に小気味よい。
 本当に何でもうまそうに食べるのだ。
「ラーメン一杯じゃ、足りないですよ。餃子もうひとつ食べてください」


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