笑顔をください 59

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 志央の反応に幸也は志央の手首をグイと掴んだ。
「寝たのか? やつと」
 幸也はそのまま志央を壁に押し付け、力任せにもう一方の手で志央の顎を掴む。
「バ……カ言うなよ! おい、幸也」
「あの、タコ野郎にやらせたのかって聞いてんだよ!」
「ちょ……痛いって、離せよ! どうしたんだよ! 幸也っ!」
 興奮している幸也は聞く耳を持たず、いきなり唇を重ねようとする。
 驚いた志央は今までとは別人のような幸也に危機感を覚え、逃れようとするが、幸也は許さない。
 子供の頃のおふざけとは違う。
 息を荒げた幸也の明らかに欲望を持った目が志央を襲う。
「女やガキ相手なら、俺も許してたさ」
 幸也は幾度も志央の唇から頬からキスを繰り返す。
「ヤローになんかお前が本気になるなんて思ってなかったし、ましてやあんなタコ野郎にやらせるはずがないと高をくくってたのが、俺の誤算だったよ……冗談じゃない。あいつに抱かれたんなら……俺に抱かれたっていいよな」
 キスだけでなく、ズボンの上に置かれた幸也の手に気づくと、志央は体を硬直させる。
「ちょ、何やってんだ! ……幸也……! やめろって…!」
 志央はありったけの声で叫ぶ。
 バン! と音を立ててドアが開いた。
「志央さん!」
 そんな調子よく現れるなどと志央は思っていなかった。


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