笑顔をください 6

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 散りゆく様が何だか痛々しい。
 この時期の情景は何かしら志央の心を震わすものがある。
「これから五分後、この桜の下を通るやつを一ヵ月以内に落とす! どうだ?」
 志央は窓から見える桜の枝をビシ、と指し示した。
「学内だぞ? いいのか、騒ぎになっても」
「あと少しで生徒会長の任期も切れる」
 理事長の孫という立場上、坂下にある付属幼稚園から小中高校と陵雲学園に学んだ。
 いくら努力して成績は有名国立大合格レベルになってたとしても、この先も祖父は志央が学園から出て行くのを許さないだろうことはわかっている。
 こんな退屈な学園に骨をうずめることを考えれば、些細なことさ、と志央は心の中で不遜なセリフを吐く。
「ジジーでもババーでもだな?」
 男女の比率からしても断然次に桜の下を通るのが男である確率が高いのだが。
「ああ! ジジーでもババーでも、ガキでもブスでも、だ」
 志央はかなりやけくそ気味だ。
「よおし、まあ、学内ってことで今回はキスまでいけばOK。ただし、キスしたってゆー証拠写真を見せる」
「証拠写真だー? んなもん、どうやって」
「チユーの記念に、とか何とか、自分で考えろよ。んで、戦利品は携帯プラスアルファだからな。もしお前が負けたら、そーだなー…」


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