笑顔をください 61

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 やがて何も言わず、七海は部屋を出て行った。
「ほんと、サイッテーだよ、あんたたちって」
 辛辣な台詞を残して、勝浩も去った。
 震える手を机について支えようとしたが志央は膝からその場に崩れてしまう。
「志央……」
 志央の尋常でないようすに、幸也は慌てて駆け寄る。
「……抱けよ…幸也…」
「おい、志央…」
 もう、どうでもいい。
 もう……終わったんだ。
 慌てる幸也に、「抱けって」と志央はガクランを脱ぎ始める。
「やめろ!」
 止めたのは幸也の方だ。
「抱きたかったんだろ? 俺を…」
 その言葉は、恐ろしいほどの強さで幸也の心を突き刺した。
「………悪かったよ、俺は…」
「抱かないのか? 今さらだろ…」
 志央はぼんやりと宙を見据えている。
「罵り合ったって、どうせ、俺たちは同じ穴の狢だ」
 冷え切った言葉を吐いて、志央は膝を抱える。
「やらないのなら、……ひとりにしてくれないか」
「志央……」


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