笑顔をください 66

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 生徒会室を後にすると、幸也は小声で志央に告げる。
 二人は坂の下まで駆け下りると、タクシーを捕まえて直接公園に向かった。
 今にも雨が降り出しそうにどんよりとした空がフロントガラスの向こうに広がっている。
 暗い夜の予感は不穏な思いを呼び覚ます。
 人の顔の判別ができない夕闇の中、木立の生い茂る公園は尚一層薄暗い。
「あっち、人影があるぞ!」
「お前はそこに隠れてろ。顔を見られるとまずい」
 幸也はそう志央に言い置いて、小さな池の向こう側へと走る。
 数人の影が二人の足音に気づいて逃げ出したが、その行く手には先にバイクで来ていた大山と西本が待ち構えていた。
 隠れていろといわれて、隠れていられる志央ではない。
 目を凝らすと、木の根元に誰かが倒れている。
 志央は近づいて、ぼこぼこにされて倒れているのが近藤だと確認すると、すぐに携帯で救急車を呼んだ。
 救急車の音が近づいてきたので、志央を残してあとの三人はその場を離れた。
 志央はたまたま倒れているところに通りかかったのだと、駆けつけた救急隊員に説明した。
 その夜、堺と松永を帰した生徒会室に、病院まで近藤に付き添っていた志央が戻ると、公園から先に戻っていた幸也、西本、大山が硬い表情で集まっていた。
「近藤は足を骨折していたが、脳の検査もとりあえず異常はないらしい。だが、相変わらずだんまり」
 近藤をやったのは、やはりいつぞや屋上で暴行を働いていた三人だった。
「こっちもだ」


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