笑顔をください 68

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 勝浩が教室のドアを開けると、放課後の教室にぽつねんと一人、大きな体をかがめて七海が机に向かっていた。
「藤原、居残りだっけ? 政経?」
 七海の手元のレポート用紙は真っ白なままだ。
「ああ…」
 七海は間延びした返事を勝浩に返す。
「政経の岡田、食えないジジイだからな。藤原ここんとこ、ぼんやりしっぱなしだし」
「悪ぃ…」
 ヘヘへと笑う、お人よしのその笑顔は前にも増して頼りない。
「藤原さあ、もっと堂々としてれば? せっかくカッコいいのに」
「はは…俺なんて…」
 勝浩にきっぱりとそんなことを言われても、志央のことでもう打ちのめされるだけ打ちのめされ、溜息混じりにごにょごにょ言う言葉も益々小さくなる。
 英語のリーダー以外、グラマーも含めて授業はさんざん、自分の弁当も作る気が失せてしまった。
 なのに、窓の外を見ていると、志央の姿がどこかにないか、なんて探してしまう。
 あーあー…、俺って、超メメシーやつ…。
 頭を掻き毟る。
 でも、やっぱ好きなんだよなー。
 自分の感情を抑えていないと、また志央に突撃しそうになる。


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