笑顔をください 73

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 翌日から登下校を一緒にする七海と勝浩の姿が人目を引いていた。
 勝浩の自宅に遠回りをして、七海は彼をバイクの後ろに乗せる。
 帰りも、勝浩の生徒会の仕事が終わるまで、生徒会室の外で七海はじっと待っている。
「中に入ればいいじゃないか」
 志央は声をかけたが、いや、ここで、とにこりともせず、七海は即座にそれを断った。
「ナイトは大変だな」
 揶揄する志央を睨みつける七海は、青い目のせいか、志央はまるで今までとは別人のような気がした。
 七海が生徒会長を振って勝浩に乗り換えたなどと、二人に関するいろいろな噂が尾ひれがついて急速に学園内に飛び交った。
 その図体の大きさで転校してすぐにも人目を引いた七海は、生徒会長の志央がしばらく世話を焼いていたのも周知のことだ。
 しかも以前はそれが原因でイジメを受けたことがあって隠していた青い目を、今は潔く隠そうともしないので一気に注目度を上げている。
 片やどうかすると女の子より可愛いという評判さえある勝浩だ。
 未遂だったとはいえ、明らかに強姦の意図を持った暴行を受けたのだが、気丈な勝浩は翌日からしっかり生徒会室に来ている。
 勝浩に微笑みかける七海を窓からついつい垣間見た志央は、もう、七海が自分にはあんな風に微笑むことはないのだと、あらためて思い知らされる。
 噂にたがわず、いかにも仲が良さそうにバイクにタンデムする二人。
 もう七海からのコールはないだろう携帯を、志央は知らず知らずぼんやり握り締めていた。
 生徒会室で気を失うまで七海に殴られた男は、案の定何もしゃべろうとはしなかったが、その男がラグビー部員だということがわかった。
 それにしても、堺を襲うなんて許せない!


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