笑顔をください 74

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 個人的な感情を抜きにすれば彼なりの正義感故にかなり頭に血が上っていた上、自暴自棄になっていた志央は、一人でラグビー部に談判に出向いた。
 ラグビー部員二人が部長に即決で退部させられた。
「申し訳ありません。これからは誓ってこんな不始末は起こしません」
 そう言って頭を下げたのは、副主将で二年の桜庭幸治だった。
「今後このようなことがあった時には、部の廃止も辞さないからそのつもりでいろ」
 そう念を押して、志央は部室を後にする。
「志央!」
 生徒会室に戻ると、ドアの前で幸也が待っていた。
「どこに行ってた?」
「ラグビー部。談判に行ってた」
「ばかやろ! 一人で動くんじゃない!」
 こともなげに言う志央に、幸也が怒鳴りつける。
「俺は手を引いてもらわなければならないような子供じゃない、生徒会長だ!」
 志央は怒鳴り返す。
「敵は何をしかけてくるかわからないんだぞ!」
 勝浩を明らかに強姦の意図をもって襲ってきた相手を幸也は危惧しているのだ。
 幸也の好意はありがたいと志央は思う。
 だが、もう、いいんだ。俺なんか、どうにでもなれ、だ。
 胸の痛みはことあるごとに志央を襲う。
 バカみたいだ。


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