笑顔をください 75

back  next  top  Novels


 何が大事かってのは、終わってから気づくもんなんだな。
 あまりにも唐突に振って沸いたから、そんな気持ちを今まで知らなかったから、ちっともわからなかった。
 メガトン級のメチャクチャ本気の恋だったんだ。
 超特急でやってきてあっという間に粉々。
 忘れるっきゃないのにと志央は自分に言い聞かせるのだが、夢を見ていただけだと思おうとしても、全然心はいうことをきいてくれない。
 弾丸を打ち込まれたみたいに胸が痛い。
 あれから七海は変わってしまった。
 目の色が違うだけで、雰囲気までがクールに見えてしまう。
 女の子たちが手のひらを返したように、七海がカッコよくなった、と騒いでいた。
 ふん、何を言ってるんだ、あいつのカッコよさはそんな、外見だけじゃないんだ。
 俺は知ってるんだからな。
 トカゲを踏みそうになって、自分の方が転んだ七海も。
 毎日飽きもせずに弁当を作ってきてくれた七海も。
 それから志央に降るほどの星空を見せてくれた。
 ふいに七海の熱っぽいキスが蘇り、志央は体を震わせる。
 だけどもうあの笑顔は俺のものじゃない……
 小学生の時の友人の裏切りがトラウマで、と言っていた。
 そんな七海のことを知っていながら志央はしてはいけない裏切りをした。
 当然の報いだ………。
 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ