笑顔をください 85

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 ともあれ桜庭が一週間以上たってもまだ姿を見せていないことは無視できない事実なのだ。
「もしそういう事実があり、被害者がいるとしたら、これにふたをするわけにはいかないはずです。状況によっては我々生徒会は警察の手を借りることも辞さない所存です。生徒会ではある筋からブラックリストも手に入れています。だが確かな証拠はないし、全生徒の将来にも関わりある問題です。あくまでも噂であることを望んでいます」
 さらにざわつきが広まる中、議長の閉会、の声が響き渡った。
「おい、志央、何であんな、テキを挑発するようなことを言ったんだ?」
 生徒会室に戻るなり、幸也が志央を問い詰める。
「るさいな、ちょっとした脅しだ。今しがた、教員どもからもいろいろつつかれて、適当な言い訳に閉口してたんだぜ」
 志央はしれっと答える。
「だけど、そいつらを煽って、志央さんに危害が及ぶかもしれないじゃないですか!?」
 珍しく生徒会室にまで入ってきた七海までが志央につっかかる。
「お前は俺のことより、大事な堺の心配でもしとけよ。次期副会長」
 志央は鼻で笑う。
「さあーて帰るか。面倒くさい生徒会長の任務も明日で終わりだし、六月からは思い切り羽が伸ばせるな、幸也」
「まあな」
 幸也は自分のカバンを抱え、志央のカバンを差し出す。
「賭けるか? 幸也、週末、ナンパした女の数でも」
「お前な……」
 七海を前に露悪的ですらある志央の発言に、幸也も言葉を途切らせる。
「俺が勝ったら、ヘネシー一本、親父さんとこからくすねてこいよ?」
「おい、志央……」
「堺、鍵、頼むぜ」


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