笑顔をください 86

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 そんなことをこれみよがしに口にしながら、志央は幸也を従えて生徒会室を出て行く。
 松永はとっくに帰り、生徒会室には勝浩とぼんやりたたずむばかりの七海と二人だけだ。
「帰る? 七海」
「あ、ああ」
 七海は力なく返事を返す。
 勝浩は七海を促して生徒会室を出ると、鍵をかけ、顧問に鍵を返すために職員室に向かった。
「七海はまだあの人のことが好きなんだろう?」
 唐突な勝浩の問いかけに七海の青い瞳が揺れる。
「知ってるよ。俺のガードを引き受けたのだって、ほんとは城島さんがガードするって言ったからだ。俺をかばって城島さんに何かあったらって考えたからだ。そうだろ?」
「勝浩……」
 七海は何も反論できない。
「あんな目にあっておいて、まだ懲りないのか? あいつら、城島さんと長谷川さんは、ゲームで七海の心を弄んだんだよ? それなのに、さっきだってあんなこと言ってさ。城島さんの神経って、おかしんだよ」
「……だな…。ついでに俺の神経も相当鈍ってるらしい」
 勝浩のきつい言葉に、七海は力なく笑う。
 七海の作ったオムライスに子供のように喜んでいた。
 志央の自分に向けた笑顔は、どんな天使よりも綺麗だと、とっくにもう心の中にインプットされてしまったのだ。


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