笑顔をください 94

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 くぐもった別の声が少し離れたところから聞こえてくる。
「立ち入り禁止って、どこですか!?」
 七海は幸也を振り返って問い正す。
「立ち入り禁止って……昔のクラブハウスか?」
「クラブハウス?」
「西棟の裏だ、七海!」
 勝浩が言った。
 それを聞くと、七海は携帯を握ったまま時計塔を飛び出した。
 
 

 

 ニヤニヤ笑いながらその男は志央の目の前にナイフをちらつかせる。
「わざと俺を挑発したのはきみだろ? さんざん俺の邪魔してくれてさぁ」
 志央がきっと睨みつけるとさらに口をゆがめて笑う。
「近藤が俺にたてついて、もうイヤだなんて言い始めてさ。屋上であいつをこらしめてやった時、君があいつを知っていたっていうから、ヘンだと思ってさ、あんな何のとりえもないやつ。ちょっと堺くんをからかった時、やっとわかったよ」
 ピタリ、とナイフの刃を志央の頬に当てる。
「ねえ、生徒会長。それとも影の番長さんって呼んだ方がいいのかな?」
 朽ちかけた床板や壁、かび臭いクラブハウスには既に電気はきていない。
「まさか、ちょっと粋がってた連中を裏でコソコソやっつけてくれちゃってたのが生徒会だなんてねぇ。俺の手駒も結構痛めつけてくれたよねぇ」


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