笑顔をください 95

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 窓はすりガラスで外からは見えない。
 それにほとんどこの旧クラブハウスあとに近づくものはない。
 風紀委員のその男が念を押していたために。
「ぞくぞくするよ、きれいな体だ。あんたは俺の憧れだったんだぜ? 美貌と才知と実力とを持って模試で全国上位にいながら、あの学園の大学部に進むなんて。俺は許さない」
「なんだそりゃ? 俺は行きたくて行くんじゃないぞ、バカヤロ!」
 志央は男の背後にいる例の三人組の連中に、腕と足を大きな机の四方の角に括りつけられていた。
 シャツやズボンを切り刻んでいるのその男の足元に脱がされたガクランが落ちている。
「やめろ、高橋!」
 志央は叫んだ。
「桜庭をどこにやった? あいつに何もかも聞いたんだな」
「桜庭の親父がお前の親父の会社にいるのをいいことに、あいつを追い詰めたのはお前のほうだろ」
「フン。やつが小心者だったのさ」
 高橋の指が志央の首筋から胸に降りていく。
 悪寒が志央の体を走り抜ける。
「こうして触りたかった。君を犯りたくて夢にまで見たよ」
 高橋の手が志央の胸の辺りから腰へと撫で擦りながら、生き物のようにねっとりと蠢く。
 胸の先端にあたる高橋の舌のぬるっとした感触に志央はぞわりと総毛立つ。
「やめろ…高橋…このゲスヤロー!」


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