月で逢おうよ 12

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 勝浩が電気のスイッチを入れて中に入ると、美利も続いて入ってきて、大きめのトートバッグを肩から降ろしてソファに置いた。
「あたしも手伝う」
 美利は部屋の真ん中にどんと大きく陣取るテーブルの上で猫たちの食事を用意を始めた勝浩の横にきて、キャットフードの袋を取った。
「ありがとう」
 築何十年だかわからないようなこのクラブハウスは、五年ほど前、『動物愛護研究会』の手に渡るまでに様々なサークルに使われていた、かなりな年代ものらしい。木造で、二十畳あるかないか。
 隙間だらけの窓や踏み抜きそうな床板、雨漏りする屋根を自分たちで修理をし、とりあえず雨風しのげるくらいにはだましだまし使っている。
 ソファや簡易ベッドの類は、みんなで粗大ゴミから失敬してきたものに、カバーをかけた。冷蔵庫も拾ってきた。
 シンクはかろうじて引いてある水道管を利用して自分たちで造りつけたものだ。
 電気ポットがあるので、お茶やカップ麺くらいならOKなため、当然、しょっちゅう宴会場にもなるわけだ。
 猫たちのためには外に通じる開閉自在の猫用ドアや、天井に近い場所にちょうど猫が走れる程度の突起と住処を造ったりして、狭い空間をフルに活用しているのだが、人間が五人も入れば、真夏などその不快指数は一気に上がる。
 加えて五匹の犬と、猫が五匹から多い日で七匹がいたりするとたまったものではない。
 検見崎が二年前、粗大ゴミの中から見つけてきたガコガコのクーラーも、日中は多少役に立っているが、熱帯夜になりそうな日は、検見崎が暑さが苦手が犬たちを家に連れ帰ったりもする。
 最初勝手に電気を配線してクーラーを使っていたために、大学側から文句をいただくなんてこともあった。代表の垪和と検見崎で交渉の末、クーラーの電気代を払うという条件で晴れて使用が認められたのだ。


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