月で逢おうよ 14

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 彼女が何を言いたいのか、何となくわかってしまう。勝浩は曖昧な返事を返すしかなかった。
 次の言葉を待って、途端に空気が緊張する。
「私じゃ、ダメかな? つきあえない?」
 ほんの一分ほどの沈黙が重く、長い。
「ごめん、俺、好きな人、いて。片思い…なんだけど」
 ようやく搾り出すように口にした言葉。
「そ………っか。わかった」
 また、少しの沈黙のあと、泣き出しそうな声で美利が言った。
「その人に………、告白したの?」
「いや。別に相手いたし」
「そう…………。つらいね」
「…いや……」
「あ、気にしないで。も、忘れていいから。それに大丈夫、やめたりしないし」
 急に元気な声で美利はそう言うと、「じゃ、またね」と無理に笑顔を見せてクラブハウスを出て行った。
 ふう、とため息をつく。
 美利を見送りながら、ひょっとして彼女とつきあってみたら、あの人のことも忘れられるのではないか、そんな思いが勝浩の脳裏をよぎる。
「バカか。そんな、彼女に失礼だよな」
 ボソリと呟く。
「つきあってみればいいのに」
 突然、背後から声がして、勝浩は「うわっ!」と叫んで振り返った。
「け、…ん見崎さん! いつからそこにいたんです! 人の話盗み聞きするなんて」
 いつもより髭が伸び、頭をくしゃくしゃにして、のっそりと立っている検見崎は、ふわあとあくびをした。
「人聞きの悪い。俺が寝てたら二人がやってきたんじゃないか。そこで告白大会始めるから、出るに出られなくってさ」


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