月で逢おうよ 16

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 俄然、検見崎の目が輝き出す。
「いい加減しつこいですよね、俺。とっとと忘れればいいのに」
「告らなかったって?」
「だからその人には、もう好きな人がいて」
「それでもいいんじゃない? 当たって砕けても。そういうの、カッコ悪いとか思ってるでしょ? シツコイとかいうし」
 茶目っけたっぷりの検見崎の科白に勝浩は笑う。
「そうかもしれませんね。でも…」
「でも?」
「結局、エゴなんですよ。俺じゃない、なんて言葉なんかいらない、って」
「うわ、情熱! そこまで勝っちゃんに言わせるその人に会ってみたいな。すんごい美人? やっぱし」
 勝浩はまた頭を横に振る。
「人のことからかってばっかで、ムカツクこともされたし、ろくでもない人でしたよ」
 そう、あれは二年生の春だっけ。
 急に俺に甘いこと言って近づいてきて、妙だなとは思ったけど、ちょっとは嬉しかった。
 優しかったから。
 けどやっぱ嘘っぱちで、俺を落とせるかどうかで、賭けなんかしてたんだ。
 そこで告ったりしてたら、いい面の皮だ。
 どんなに俺が傷ついたかなんて、あの人はてんで知らないだろうけど。
 本当に好きだったから。
「勝っちゃん?」
 古い思い出に入り込んでいた勝浩は、はっとして顔をあげる。
「俺のこと? それ」
「え?」


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