月で逢おうよ 18

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   ACT 2

 地下へ続くコンクリートの階段を降り、ドアを開けると、まず熱気に煽られた。
 検見崎と二人、ギャルソン風な店員に案内されて奥のテーブルへと向かう。
「わあ! タケちゃん、えらい! ちゃんと堺くん連れてきてくれたんだ」
 両手をいっぱいにひらひらと広げて笑顔を向けたのは同じ編集部でバイトをしている女性陣の一人、岩崎だ。
「合コン、な感じがするんですけど、これって」
 勝浩は隣に座る髭面の男を見もしないでボソリと口にする。
「ま、ま、かたいこと言わず、何飲む? 勝っちゃん」
 どうやら数合わせに連れてこられたようだ。検見崎にまんまとしてやられたと思いつつも、憎めない笑顔にごまかされてしまう。
「えっとー、光榮社の『the あにまる』編集部でバイトしてる岩崎真理です。マリーって呼んでくださいねー」
 編集部でいつも顔を合わせている真理も、今日は化粧に気合が入っている。
 短大を卒業してから編集部では主に雑用的な仕事をしているが、父親がそこそこ有名な作家で担当編集者の口利きで入ったらしい。
 勝浩にしても検見崎の紹介だから何を言うべくもないのだが、やはり強力なコネクションがあれば就活も有利に動けるのはあたりまえというところだろう。
 隣の検見崎など、光榮社の親会社である新洋社社長の息子なわけで、次男だとはいえ何の苦労もない人生を謳歌しているとしか見えない。
 早速、得意のおしゃべりで女の子たちを笑わせている検見崎にちょっと目をやると、勝浩は苦笑する。


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