月で逢おうよ 19

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 ところは新宿の洋風居酒屋、大テーブルに五、六人ずつの男女が入り混じって座っている。生ビールを手に、自己紹介が始まった。
「ちょ、場違いじゃないですか? 俺。Tシャツにジーパンだし」
 勝浩が検見崎にこそっと呟く。
「勝浩はそのままでいいの。可愛いから、あっちのオヤジどもに全然負けてない」
「いや、そうゆーことでは……」
 この暑いのにびしっとスーツで決めたサラリーマンたちも何やら気合が入っているようだ。顔ぶれも女の子たちが騒ぎそうなイケメンが並んでいる。あと何人か来るらしく、席が空いていた。
「堺勝浩です。大学二年です」
 自分の番になったので、それだけ言って勝浩はペコリと頭を下げる。途端、かーわいい、という声が女の子たちからあがる。勝浩がこういう場所が嫌いな大きな理由だ。
「大学、どこ?」
「慶洋大理学部です」
「もういいでしょ、ボクの可愛い後輩をいじめないでね。次、俺、検見崎武人、慶洋大、えーわけあってもう一度二年生でーす。タケちゃん、って呼んでねっ」
 仏頂面で答える勝浩の横から、検見崎が声を大にして主張すると、場がどっと沸く。
 勝浩はやれやれと、手持ち無沙汰にビールを口にした。
「おう、やっときやがった。幸也、こっちこっち!」
 そう言って検見崎が手を上げた瞬間、勝浩はビールを噴出しそうになった。
「え………」
 女の子二人を従えるようにして入ってきた長身の男は、白いシャツを無造作にはおり、緩やかに流れる柔らかい髪が少し首にかかっている。
「おっせーぞ! 幸也」
「このやろー、どこに雲隠れしてやがったんだ、今まで」
 スーツの男たちからもヤジが飛ぶ。
「真打登場ってやつ?」
 にやっと笑って、幸也は周りを見回した。


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