月で逢おうよ 2

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   ACT 1

 一時はかなり激しく地面を叩きつけていた雨もすっかり上がり、青く晴れ渡った空には夏の名残を惜しむように入道雲が存在を主張している。
「あっちぃーーー!」
「クーラー入れろ、クーラー!」
 ドアを開けて飛び込むなり、思わずみんなが口々に喚く。
 ようやく狭いキャリングケースから出された猫たちは、それぞれ思い思いの場所に散らばった。一緒に飛び込んできた犬たちは、ぶるっと全身を震わせて水滴を飛ばしている。
「きゃー、犬、拭いてあげなくちゃ、タオル、タオル」
「垪和さん、タオルあと二枚しかないですよ」
「えーもう? じゃ、美利ちゃん、今度ペットフード買いに行くとき、一緒に買ってきてくれる?」
「はーい!」
 てきぱきと支持を出す四年生の垪和は、この慶洋大学『動物愛護研究会』の代表を務めている。
 ちょっと見、いかにももったいぶった名前を掲げ、キャンパスに捨てられた犬猫の面倒を見てはいるものの、設立当初は、活動といってもその実態は犬猫好き学生が研究会と称した飲み会をするくらいのものだった。
 この研究会が学内で一躍注目を浴びた理由は、昨年から、老人ホームや養護施設に犬や猫を連れて行き、一緒に過ごしてもらうという活動を始めたことだ。
「でもせっかくホームのおばあちゃんたち喜んでたのに、雨降ってきちゃってさー」
「また、行けばいいさ、な、ラブ」
「ちょっとー、検見崎、濡れたまま犬をソファにあがらせないでよ」
「拭いてんだよ、あれ、垪和っち、勝浩は?」


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