月で逢おうよ 21

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 しかも検見崎さんも長谷川さんのこと知ってるわけ?
 頭の中が疑問だらけになりながら、勝浩は努めて冷静になろうと手に持ったジョッキに口をつける。
 どうしよう。
 アルコールも手伝って、心臓がガンガンいっている。
 いきなりこんな形で現れたら、どんなリアクションをしていいかわからないではないか。
 それにしても気づいてないんだろうか。いや、それとも俺のことなんて忘れてしまったのかもしれないな。
 やけになってジョッキを空にしてしまうと、いつの間にか向かいに座っていた検見崎が、おおっと、笑う。
「今日はいい飲みっぷりじゃない。あ、おにーさん、こっち、勝っちゃん、お湯割の梅干し入りだよな? それと肉じゃがひとつ」
 傍を通りかかった店員を捕まえて、検見崎はすかさず勝浩のいつも選ぶものをオーダーしてくれる。そういうところは何せ面倒見がいい。
シーリングファンが高い天井で回っている。大型のテーブルは黒く磨かれ、背もたれが大きい椅子は凝ったデザインだ。パッと見はそんな洋風居酒屋だが、メニューは和洋何でもありで、気取りはない。
「何、勝っちゃんも負けちゃいられねーってか?」
「そんなんじゃありません」
 きっぱり検見崎に反論して、勝浩は目の前の豆腐のあんかけをつつく。
 幸也の周りだけでなく、みんな大いに盛り上がっている。
勝浩といえば、さっきから女の子にいろいろ聞かれるのだが、はいとかいいえとか、別に、くらいしかしゃべらないので、そろそろ勝浩には誰も話し掛けようとしなくなってきた。
 いっそ帰ってしまおうかとも思うが、あんなに会いたかったはずの幸也がそこにいるのだから、何となくそれもできない。
 いつにないハイペースで飲んだので、かなり酔ってしまったのはわかっていた。


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