月で逢おうよ 28

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 中学二年の時、父親が東京本社に栄転になると聞いて勝浩も喜んだが、当時人に貸していた懐かしい家に戻れる、ということは、陵雲学園や志央と近くなるということで、それはそれで思い出したくない過去に遭遇することをも意味する。
 勝浩は陵雲学園中学への転校を勧める父に断固として、別の中学への転校手続きをせがんだ。
 その時はまさか、また陵雲学園高校に通うことになろうとは思わなかったのだ。
 
 

 東京に戻ってきて、勝浩は家から遠い公立中学に転入したが、なんとなく馴染むことができず、一人孤立していた。
「こら! このガキども! 小さい動物をいじめんじゃねー」
 二月の寒い日の夕方、塾に行く時に通りかかった公園で、怒鳴り声が聞こえた。
 ベンチの周りでわいわい騒いでいた小学生四、五人がその声に立ち止まる。
 小学生の足の間から、野良猫が走り去るのが見えた。
「ったく、近頃の親や先生は何教えてんだか。お前らな、ゲームばっかしてっから、そーゆー基本的なことわからなくなっちまうんだぞ」
 諭すような口調で、小学生に説教しているのは、背は高いがまだ若い少年だった。
「基本的なことって、何だよ」
 生意気そうな小学生がくってかかる。
「ん、たとえば、こうゆう公園で何をして遊ぶか、とか」
「なーんで、それが基本的なことなんだよ」
「子供は遊ぶ、ってのが基本だからだ」


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