月で逢おうよ 3

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 垪和以下幽霊部員も入れれば二十人足らず。黒いラブラドールのからだをタオルでゴシゴシこすっている三年生の検見崎が副代表だが、常に活動に参加しているのは二十人中約半分ほどだ。
「勝浩くん、車、移動してる。今日、ホールでなんかのイベントがあるから、裏の駐車場に入れろって、守衛さんに言われたのよ」
「大丈夫かぁ? ペーパードライバーだろ? 勝浩くんは」
「この頃は、ちゃんと車動かしてますよ」
 ギシ、と耳障りな音をたててドアが開く。
「おや、聞こえちゃった?」
「この安普請で、検見崎さんの大声じゃ、聞こえない方がおかしいですよ」
 むっとした表情で入ってきた堺勝浩を認めるなり一匹のハスキー犬が駆け寄った。
「おう、ビッグ、よしよし、今日はいい子だったなあ」
 大きな犬をひとしきり撫でると、勝浩は自分のバッグからタオルを出して顔の周りを拭いてやる。
「何、何? やっと車を動かす理由ができたの? 勝浩ってば可愛い顔していやらしい!」
「検見崎さんの頭の中にあるオヤジな発想を、俺に当てはめるのはやめてください」
 勝浩が猫のごはんを用意し始めると、室内に散らばっていた猫たちがわらわらと寄ってきて、足元に身体を擦りつける。
「ふーん? で、車でどこ行ったの?」
 にやにやしながら検見崎は垪和の用意した犬のご飯を、待て、を言いながら行儀よく座っている犬たちの前に置いていく。
「父の車借りて、妹たちとディズニーランド行ったんです」
「妹ぉ? またまたぁ、彼女できたんなら、ちゃんと紹介してくれないと」
 よし、という言葉と同時に犬たちが勢いよくご飯を食べ始める。
「だから、妹です。彼女なんかいません。仮に彼女でも、なんで検見崎さんに紹介しなくちゃいけないんです?」
「そりゃ、先輩として、勝浩が変な女にだまされないようにだな」


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