月で逢おうよ 33

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 あれは一体なんだったんだ?
 合コンだか何だかの翌朝、勝浩は自分のベッドで目が覚めた。
 がばとからだを起こした途端、ユウと目が合った。
 リードが置いてある場所がいつもと違う。ユウは散歩をしたらしい形跡がある。
「俺、散歩行ったっけ? ユウ」
 小首を傾げるユウが、答えるはずもない。
 とにかく記憶が途切れるまで酒を飲んだことなど初めてだ。
 おまけにまたあの頃の夢をみていた。
 幸也との再会すら夢のように思えてしまう。
 胸の痛みだけは未だにあるのに。
 あれが現実だったら、幸也はもう過去の恋なんかとっくに清算して、新しい恋人とよろしくやっているのだ。
 何やら狐につままれたような面持ちで、勝浩は大学の片隅にある古いクラブハウスで待っているだろう犬や猫たちのもとへと向かう。
 でも、机の上にあった見慣れぬ銀のライターといい、やはり夢ではないらしい。
 誰のだろう? 検見崎さんって、いつも百円ライターの人だしな。
 それらの質問に答えてくれるだろう検見崎は、あのあと取材で北海道に行くと言っていたから、しばらく会えないだろう。わざわざ電話で聞くようなことでもない気もするし。
 しかも、だ。どうやら電話を受けた垪和の話によると、検見崎は今度の訪問会にも欠席だという。
 これじゃ、いつまで経ってもわからないままだ。
 ライターのことも、幸也のことも。
 『動物愛護研究会』の主な活動のひとつは、月一で犬や猫と一緒に老人ホームや養護施設を回ることだが、夏休みに限り、二ヵ月のうち三回を予定していた。そして九月末には検見崎家所有の山小屋で毎年恒例のバーベキュー大会がある。


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