月で逢おうよ 35

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 訪問会当日、少し散歩に時間がかかり過ぎて時間ギリギリになり、勝浩は慌ててユウを連れて大学へと向かった。
「よう、きたな」
 クラブハウスに行くと、白いポロシャツの男が振り返ってニヤッと笑う。
「長谷川さん! どうしてこんなとこにいるんですか?」
 勝浩は驚いた。
「いや、タケのやつが代わりにお前行けってんでさ。たった今から、入会させてもらいます。みなさん、よろしく! 長谷川幸也です」
 悪びれもせず、凛々しそうに挨拶する幸也に、準備をしていた垪和やみんなが笑顔を向ける。
「検見崎の話によると、大型犬たくさん飼ってるんですって?」
 心なしか垪和の声が弾んでいる。堅実派の垪和でさえ、幸也が相手だと違うものなのか。
「五匹います。猫もいますよ」
「そうなんだ? 検見崎の友達っていうから、どんな人が来るかと思ったけど、よかったわ。勝浩くんの高校の先輩ですって?」
「ええ。生徒会でも一緒だったんですよ、勝浩とは二年間」
 勝浩の代わりに幸也が答える。
 幸也だと、何がよかったのだろう。確かにガタイはいいから、力はありそうだけど。
 勝浩は何だかわからないが妙に腹立たしい気分で、二人のやり取りを見やる。
 女ってこういう男に弱いんだよな。どこか曲者そうな雰囲気に、わざわざ引っかかるっていうか。
 それにしてもどうしたっていうのだろう。
 こないだ再会したと思ったら、いきなり幸也に自分のテリトリーにまた近づいてこられて嬉しい思いの反面、また何か幸也が企んでいるのではと勘繰りたくもなり、勝浩は何やら不穏な面持ちでユウをクラブハウスの前の柱につなぐと、中に入って準備を始めた。


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