月で逢おうよ 38

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 窓から辺りに目を凝らしながら必死でユウを探す勝浩を励ますように、幸也は快活に言って車をゆっくり走らせる。
「ええ、そうですね…」
「と、じゃあ、ホームから見てお前んちの方角に、走ってみるからさ」
「すみません」
 三十分ほど車でホームの周囲をあちこち流してみたが、やはりユウの気配はない。
 車がホーム近くの公園に差し掛かった頃には、あたりは夕暮れの色が濃くなり始めていた。
 その時、勝浩は木蔭に茶色い影が動くのを見た気がした。
「停めてください!」
「いたか?」
 幸也が車を路肩に寄せて停めるなり、勝浩はドアを開けて公園に走りこむ。
 後ろから幸也も追ってくる。
 それほど大きな公園ではないが、鬱蒼とした木立の間を遊歩道が続いている。
「ユウ!」
 周りに目を配りながら、勝浩は必死にユウの名前を呼ぶ。
 遊歩道の向こうの方で、わん、わんっと犬の鳴く声がした。
 勝浩は走った。だが勝浩が見つけたのは、やがて遊歩道が終わるあたりで、ユウと同じ柴犬を連れた男の姿が道路に出て行こうとしているところだった。
 噴き出す汗を手の甲でぬぐいながら、勝浩はがっくりと息をつく。
「勝浩、いたか?」
 幸也の声に顔を上げた勝浩は、首を横に振る。
「ちょっとそこに座ってろ」
 すっかり意気消沈した勝浩をそばのブランコに座らせると、幸也は遊歩道を抜けて公園を出て行った。


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